2024/12/19 22:51


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上ナシ珈琲では、Kona Coffeeの最上等級”エクストラファンシー”の生豆と焙煎豆のみを取り扱い販売しています。

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こんばんは。上ナシのフーテン𝓜です。

小説家のバルザックのコーヒー☕️の名言にこういうのがあるそうです。

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コーヒーだけが、想像力豊かなこの労働機械の活動を、再々促す黒い油であった。
コーヒーは知的能力の活動時間を、しばしば延長させてくれる。

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「黒い油!」言いえて妙ですなあ。

なんか油というと、身体に悪そうな感じに聞こえますが、ボクもあのコーヒーオイルがたまらく好きです。


【コーヒーオイルの海で泳ぎたいくらいだ!】っていうのは前にもここで言いましたが【コーヒーオイルが出ないコーヒーはコーヒーじゃない!】とまで言っておきます。


まあ、ボクのはとても名言じゃないですけどね。

コーヒーとは関係ないですが、バルザックは他に

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孤独はいいものだという事を我々は認めざるを得ない。
けれどもまた孤独はいいものだと話し合う事のできる相手を持つことはひとつの喜びである。

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という言葉も残してるのだか。

こういう相矛盾した感情というのか感覚をきちんと捉えて、言語化できる人が書く小説はやっぱり人間観察が深くて、多面的に人間を捉えているから登場人物は好き嫌いは別にしてキャラが立ち、生々しい感じが魅力的に映るんじゃないでしょうかね。

人間、最初から最後まで、表から裏まで一本道ってことはないですからね。

そんなことを考えながら、Kona coffeeを飲みつつ、今日手に取った1冊はこちら。



『スペシャルティコーヒー物語』のプロローグから一部ご紹介しましょう。

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・・・彼らが仕入れ、焙煎し、販売するコーヒーは、業界内で「スペシャルティコーヒー」と呼ばれている。

コーヒーは、赤道沿いに地球を一周するように帯状に広がる山脈地域の約50ヵ国で栽培されている。

そのうち、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの地元農家が伝統的農法で特別に手をかけて育てる、選び抜かれた「匠の」コーヒー、それが「スペシャルティコーヒー」である。

そんな彼らが揃って興奮気味に語る最高級のコーヒー豆があった
――エスメラルダ・スペシャルだ。

パナマの小さなコーヒー農園が栽培するこの豆は、華々しく登場し、コーヒーを愛する起業家たちの心と財布を掴んで離さなかった。恐ろしく高価なのだ。

エスメラルダ・スペシャルについて学ぶうちに、私はこの豆をスペシャルティコーヒー業界のトレンドの「象徴」として見るようになった。
コーヒー業界の変革を進める人々の姿をここまではっきりと映し出す存在は他にない。

多くの人が究極の品を追い求める時代に、エスメラルダ・スペシャルは「スペシャルティコーヒーの最高峰」の名をほしいままにしていた。
スペシャルティコーヒーのバイヤーたちのあいだでも、世界で最もエキゾチックで最も高価なコーヒー豆だと言われていた。

エスメラルダ・スペシャルは、すべてにおいて型破りだった。
生産地も味わいも、木の外観までもが大方の予想を裏切っていた。

パナマ産のこのコーヒーが表舞台に登場するまで、スペシャルティコーヒー業界の人間に限らずコーヒー愛好家はみな、地上で最も高値の付くコーヒーはケニアの山の斜面かハワイの火山で育つものと信じていた。

ところが、エスメラルダ・スペシャルは世界最小規模のコーヒー産地であるパナマのポケテ地域で生まれた。それも、急勾配すぎるし風も強すぎる、と言ってたいていの農家が見向きもしなかった土地で。

もちろん、エスメラルダ・スペシャルに恐ろしいほどの高値が付きはじめてからは、誰もそう言わなくなった。


2005年には、生豆でポンド(454g)あたり21ドル、焙煎豆でその約2倍という、当時の史上最高値が付いた。

翌年には一般相場の50倍、約50ドルとなり、消費者はボンドあたり100ドル以上を支払うことになった。2007年には130ドルになり、小売価格は200ドル以上になった。

そんな高価な豆をいったい誰が買い、誰に売るのか。

エスメラルダの物語は、醜いアヒルの子が美しい白鳥になって羽ばたく童話のようだ。と同時に、上の世代の目には馬鹿げて見えるほど深く狂おしく大胆にコーヒーを愛する新世代バイヤーたちの物語でもある。稀少だからこそ人々に渇望された。

珍しくて貴重なものを売買すれば大金を稼げる可能性があるため、拝金主義者も寄ってきたし、流行に敏感な若いバイヤーも飛びついた。

本書の主人公となるスペシャルティコーヒービジネス界の30代の男たちも、エスメラルダにすっかり魅了されている。その強く華やかな香り、フルーツや草花を思わせるフレーバーはもちろん、謎めいた起源にも心を奪われている。

その愛は理屈では説明できないし、ビジネスだけが目的でもない。当然、商売としての旨みも多少は絡む。「高値」の花だからこその刺激もある。


しかし、最上級のコーヒービジネスの仕掛け人として、エスメラルダを入り口に、味わい深い稀少なコーヒーに喜んで金を払う愛飲家を育てようともしている。

彼らがコーヒーの価格を意図的に上げようとしているのは確かだ。
スペシャルティコーヒー産業の将来はうまく値上げできるかどうかにかかっている、と彼らは言う。

従来の「安く仕入れて高く売る」モデルを採用する気はない。
そのやり方では、コーヒー農家をはじめ、スペシャルティコーヒーに関わる人々の生き血を吸うことになってしまう。

彼らはあくまで、コーヒー流通に関わるすべての人を潤すために稼ごうとしている。エスメラルダ・モデルは「高く仕入れて高く売る」モデルなのだ。

エスメラルダを高値で競り落とす若手バイヤーは、自分たちのことをコーヒーの「サードウェーブ(第三の波)」と呼び、業界の革命児を自任する。

本書は、完璧なコーヒーを追求する彼らとの旅の様子を綴ったものだ。

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【醜いアヒルの子が美しい白鳥になって羽ばたく】エスメラルダの物語というわけです。

「サードウェーブ(第三の波)」ブームを創造し、コーヒーをより価値あるものとして仕立てあげてきた人たちの物語といってもいいかもしれませんね。

そこにはフェアトレードの大義(コーヒー生産国の労働者の生活や労働環境を改善し公平な貿易を行う)があり、コーヒーの新たな魅力と可能性の発見があり、みんなが儲かる仕組みも組み込まれ、消費者のコーヒーに対する知識向上や教育も含まれる。

人気の物語がたいていは「成長物語」であるように、ゴールまでまっすぐな道ではなく、紆余曲折があり、「拝金主義者も寄って」くるし、周りからみればちょっとやりすぎじゃねぇっ思われる活動ですが、革命が起こるときは往々にして「馬鹿げて見えるほど深く狂おし」い愛と情熱が注がれるもの。

上記プロローグに2005年とか2007年という記載があるように、ウィキペディア(Wikipedia)によれば、「サードウェーブ(第三の波)」は1990年代に流行の兆しが見え始め、用語としては2002年からアメリカで使用され始めたとあります。

日本での「サードウェーブ(第三の波)」はブルーボトルコーヒーが日本に上陸(2015年)した2010年代くらいからでしょうかね。もう「スペシャルティコーヒー」というのは定着もし、理解も断然深まっているといっていいでしょう。

彼らが目指したのは「コーヒー流通に関わるすべての人を潤すために稼」ぎ、「高く仕入れて高く売る」モデル。
現在は消費者に納得のうえ、理解してもらって高く買ってもらう最終段階でしょうか。
なにせ「高く仕入れて」も、高く売れていない、買ってもらっていない業者も多いでしょうから。

この前、ここで「アラビカ種」コーヒー生豆先物が1977年以来の高値をつけたニュースを取り挙げました。

そこでニューヨーク取引所のコーヒー先物の単位が
1ポンド(453.592g)で、
先物価格チャートは、USD(セント)/ポンドで
表示されることも書きました。

今日今現在12/19は335.25セント/ポンド
つまり3ドル35セント超。

2024年12月19日につけた過去最高の高値337.80セント/ポンドには及びませんが、依然高値のまま推移しています。



『スペシャルティコーヒー物語』のプロローグによれば、
エスメラルダ・スペシャルは、
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2005年には、生豆でポンド(454g)あたり21ドル
焙煎豆でその約2倍という、当時の史上最高値が付いた。

翌年には一般相場の50倍、約50ドルとなり、
消費者はボンドあたり100ドル以上を支払うことになった。

2007年には130ドルになり、小売価格は200ドル以上になった。

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とありました。

今から約20年前の2005年当時、上のグラフを見てもらうとわかるんですが、ニューヨーク取引所の主にアラビカ種生豆は1年を通じて
1ポンド(453.592g)あたり1ドル7セント前後でした。高くなっても1ドル37セント。

そこから20年経って、
現在は1ポンド(453.592g)あたり3ドル35セントですから、3倍ですね。

とはいえ、エスメラルダ・スペシャルの2007年時点での
ポンド(454g)あたり130ドルは、今の最高値のコーヒー先物の40倍超🎉ですからねえʘʘ

世の中、すごい世界があるもんですね。物語のすごさというか威力のすさまじさですね。

最近ではその物語の脅威をよく考えてねって本も出てますね。




さて、生産者は20年前よりも潤っているんでしょうか。そうならいいですね。

コーヒー流通に関わるすべての人はどうでしょうか。
喫茶店やコーヒー屋はどうでしょうか。

仕入れが高くても、原価に見合った対価が得られるなら「高く仕入れて高く売る」は成功といえるでしょうが、先に書いたようにそれは道半ばです。

このモデルの最後の「高く売る」はまだまだ市場で死屍累々を重ねながらでなければ達成されないのかもしれませんね。


消費者に現状を知ってもらって、知識を蓄えてもらって、コーヒーを公平に評価してもらって、やっぱり高く買う価値があるぞと納得してもらって。買っていただく。毎日飲んでいただく!


卵って昭和25年から価格が変わってないんですね~
まあ、お金の価値が違うから一概には言えのかな?

コーヒーが卵と同じような価格の推移となるのか、いかに!?


少しお高いですが、ハワイのKona 最上等級”エクストラファンシー”をよろしくお願いします。


迷わず行けよ!行けばわかるさ!
タァー!